1658年に阿波(徳島県)で染料として藍の商い(藍染)を始め、その後8代目が1789年に酒造業に乗り出したのが西野金陵のルーツ。
清酒金陵は江戸時代から“讃岐のこんぴら酒”と呼ばれ、海上交通の守り神・金刀比羅宮の御神酒として地元讃岐(香川県)だけでなく、全国から集まるこんぴら参りの方々(おそらく’森の石松’も含まれる)に愛飲され続けている。今日も、「こんぴらさんの御神域の象頭山から涌き出る銘水」、また「900年を越える歴史ある多度津葛原八幡神社の御神水」そして「讃岐平野の讃岐米」を原料として、品質一筋220年の歴史で培った伝統・技・こころを継承し、酒造りに励んでいる。数年前に金陵のルーツである「藍」をイメージした「濃藍」という純米吟醸酒を開発した。
麹つくりと自社精米が要
金陵の日本酒の特徴について聞くと、「麹造りに力を入れ、自社精米機にてしっかり米を磨くこと」という答えが返ってきた。酒造りでも要になる精米と麹つくり。ここに力を入れるのは当然のことだが、このコメントから基礎に重きをおき、質の良い酒造りを心がけているという普段からの心意気が垣間見れる。
また、「米をしっかり洗い雑味の少ないお酒」を意識しているとのこと。確かに金陵の日本酒は雑味が少なく、きれいな飲み口である。
新しい試みとして、四国の果物をふんだんに使用したリキュールの開発がある。ゆず酒、文旦、さぬきのもももと3アイテムとも果汁割合は40%以上。ゆず酒を試飲させて頂いたが、ゆずの香り、爽やかな味が忘れられない。日本酒が苦手だという方にオススメだ。
「伝統の酒質は守りながら、進化させていきたい」とう18代目の言葉通り、伝統の酒の中にチャレンジ精神が感じられる。
1つの日本酒を飲み倒す
金陵の日本酒は冷~燗まで対応しているので、1つの日本酒が色々な表情を見せてくれる。コスパよし、楽しさよしとオールマイティーである!
燗をするときのコツを18代目に聞いた。「金陵の吟醸系であれば10度前後、純米系であれば45度がおすすめです。酒器は透明なグラスをおすすめします。最近では無濾過タイプやおりがらみなど香り高いお酒も増えたので見た目でも楽しめる酒器がよいと思います。」燗酒といっても温度によって味、香りが全く違ってくるので、温度管理はきちんと見極めたい。そして、酒器!見た目の楽しさももちろんだが酒器によって味や香りの立ち方が変わるので、酒器選びも手を抜けない。
となると、どんな料理と合わせるのがいいのか気になるのでそれも聞いてみると、「純米系であれば天ぷらや煮魚など。吟醸系であればタイやカンパチなど白身魚のお刺身、ローストビーフなどがおすすめです」、とのこと。日本食だけでなく洋食とのペアリングも試した欲しい!
日本酒選びはプロに聞け!
日本酒を選ぶポイントを18代目に聞くと、「個性的なラベルが増えたので見た目も大事ですが、お店に入って店員さんにお聞きすることをおすすめします。地域や日本酒の成分など色々と気になることがあると思いますが、甘口、辛口、香りがあるないなど、自分の好みを伝えていただければ美味しいお酒に巡り会えます」。酒屋の店員やレストランの店主などプロにアドバイスを委ねるのが一番とのこと。恥ずかしがらずにどんどん聞いて、美味しい日本酒に巡り合うチャンスを増やしてほしい。
面積は日本一小さいが見どころが満載
香川県は日本一面積の小さい県だとどのくらいの方がしっているだろうか?県内にある酒蔵数は6軒と全国でも少ない地域。でも見どころは満載だ。
香川に行ったらまず酒蔵見学をしてほしい。地酒がとてもうまい。そして船の神様でも知られる金刀比羅宮(こんぴらさん)や栗林公園、瀬戸内海の島めぐりでパワーをもらう。映画で有名になったのが、香川のさぬきうどん。最近ではうどんタクシー(数軒のうどん屋案内とプチ観光)もできたので、うどん巡りをしながら地酒を楽しんでみてはいかがだろう。
金陵では新酒の時期11月下旬頃に琴平の蔵にて初しぼりの祝宴を開催しており、新酒や地元の食を堪能できる。
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